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☆☆☆☆☆ 嘔吐 ☆☆☆☆☆(漢方通信)

悪心、嘔吐はありふれた症状であるが、対応を間違えると重症化することもある。

2001年の秋頃から嘔吐、下痢を伴う感冒様疾患が多発しているが、感染性胃腸炎と考えられる病気が殆どである。この疾患については今月の小児科通信で述べているので、参考にして欲しい。

大塚敬節著「症候による漢方治療の実際」によると、古人は嘔と吐とを区別した。声があって物が出ないものを嘔とし、声が無くて物の出るものを吐とした。また乾嘔という語がある。俗にからえずきとよんでいる。これは嘔吐せんとして物の出ない場合をいうので、古人の嘔にあたる。今日では、嘔と吐とを区別せずに嘔吐とよんでいる。この本によると、悪心、嘔吐に対する方剤として、24種類取り上げているが、この中から代表的な3方剤を取り上げてみる。
(1) 生半夏加茯苓湯・・・悪心、嘔吐を主訴とする物に用いる。悪阻の嘔吐や薬物からくる嘔吐に用いる。金匱要略には“卒然として嘔吐し、心下部が痞え、めまいと動悸のあるものは小半夏加茯苓湯の主治である”とある。
(2) 五苓散・・・激しい口渇と尿利の減少があって、嘔吐するときに用いる。この嘔吐は水逆と呼ばれるもので、乳幼児に多く見られる。水逆の嘔吐では、口渇が激しく水を欲しがる。しばらくすると、飲んだ水よりも多いと思うほどの多量の水を一時にどっと吐く。直ぐに水を欲しがり、飲むとまた吐く。このようなときに用いると嘔吐が治まる。
(3) 茯苓沢瀉湯・・・嘔吐の後で口渇を訴える点では、五苓散と似ているが、水を飲んでも直ぐに水を吐くのではなく、朝食べたものを午後とか夕方に吐くというように食事から嘔吐まで時間がかかるのが特徴である。
感染性胃腸炎の嘔吐の治療法としては、当院では嘔吐後2時間は完全絶食にして、その後五苓散を湯冷ましに溶いて少しずつ飲ませる。その後20分ほどたって嘔吐がなければ湯冷ましを少量ずつ次第に量を増やして飲ませる。大抵1度で治まることが多いが、再び嘔吐したら同じことを繰り返す。これで大抵は大丈夫である。水の与え方が少量頻回というのがこつである。


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